半蔵門のそば百名店「さわらび」。

埼玉県蕨市出身の山崎店主は
数々の名店を輩出する「一茶庵」系統の
「鎌倉一茶庵」、「九段下一茶庵」(共に現在閉店)で修業の後、2004年に「さわらび」開店。
店主夫妻が2人で切り盛りする
小さな店はまさに「隠れ家」「山里の庵」風で都会の喧騒を忘れさせる大人の空間。
落ち着いた雰囲気の中ゆったりと蕎麦を楽しみました。
で注文したもの
・小さいつまみ ¥330
・鴨汁せいろ ¥1600
・エビス小瓶 ¥500

小さいつまみ

「さわらび」は日替わりで
スモールサイズのつまみを提供しているらしい。
この日は「ワカサギの佃煮」でした。
キャラメリゼしたスイーツのように飴色が表面を覆い、醤油のコク、大豆のまろやかさ砂糖の甘味とワカサギの淡泊な風味が交錯。
昼下がりのビールとともに楽しんだ。
鴨汁せいろ

「さわらび」の人気メニュー「鴨汁せいろ」(夏季は提供していない)

ひとめ見て印象的なのは「蕎麦の太さ」。
田舎蕎麦のような太さとやや扁平な形状。
驚くのは蕎麦切りの技術の高さで、丁寧な手打ちにより切りムラもなく端正な工芸品のようだ。

蕎麦は信州八ヶ岳産の二八。
蕎麦肌は摩擦係数の低いサラリとした舌ざわり。
エッジの効いたテクスチャーと咀嚼すると品のよい蕎麦の甘味、ニチッとした弾力感。
太いんだけど巧緻に富んだ完成度。
芳醇な蕎麦の香りにも癒される。

ツユは鰹系の出汁感を基調にしつつ
キリッとした醤油のしょっぱさを包含。
この手の鴨汁せいろって甘辛い方向性に纏める蕎麦の名店が多い中、筆者には敢えて比較的甘さを抑えた味わいに感じた。
脂肪を蓄えた冬の鴨ならではの鴨の脂のコクがたまらない。
何気にいい仕事してるのが「白葱」。
鴨汁の中の葱はトロトロに煮込まれ、
辛味成分が抑制され角がとれた「甘い葱」。
一方で別皿に盛られた葱は切りたての「辛い葱」。
あのシャープな葱の辛さが味覚中枢を直撃。
ひとつの蕎麦に対比的に
「甘い葱」と「辛い葱」を入れる
芸の細かさ、この店のあざとさを感じてしまう。


鴨肉とつくね入り。
挽きの粗いゴロゴロとした重厚感ある「つくね」が実に印象的だった。

しっかりトロみのついた濃厚な蕎麦湯。
醤油勝ちな鴨汁だと蕎麦湯とも好相性ですね。
あとがき
以上、「さわらび」でした。
都心の半蔵門にありながら
JAZZが流れる大人の隠れ家的店舗で
しっぽりと蕎麦をたぐる。
実に素敵な時間の過ごし方ができる店でした。
次回はディナー時に再訪して日本酒とともに楽しみたいものです。
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